心象風景
先週、雪のすごい日の午後だった。
真っ白い風景のなか
高速バスに揺られていた私は突然、
「作詞」の能力に目覚めた。
◯
目覚めた、というより、
以前から詞の一部になりそうな
ワードを思いつき次第メモしていたのだが、
今回はあまりにも確実な意欲と共に
自信が降りてきた。
「書かなきゃ」と思ったのだ。
今なら書けると。
恥ずかしげもなく、何の抵抗もなく
文字に落とし込めるぞ!と。
すぐさまiPhoneのメモを開き、
かなりの時間打ち続けた。
作曲スキルは無いし、
打ち込みの技術も無い。
ただ、いつか誰かに歌われることを
仮定した “歌詞”。
湧き出てくるのだ。単語が。
それに付随した情緒や景色が。
私のなかの心象風景を
少しずつ切り取っている、と言ってもいい。
結局、その日のうちに
8曲分の詞が書き上がった。
うち1曲は7つくらいしか知らないコードを
なんとか組み立てて、
ギターで弾き語ってみたりした。
旋律も自然と口から溢れ出てきて、
メモを取らずとももう覚えてしまった。
なんだこれは??
◯
所属しているサークルがサークルなので、
曲を作る人が周りにいる。
「その本人でしかない」ような
詞を書く人もいれば、
歌い手の輪郭が見えない詞を
書く人もいて、その幅が面白い。
もう部員全員にオリジナル楽曲を
弾き語って欲しいほど、
個々人がどんな曲を書き
歌うのか興味深い。
現在11曲分の歌詞の
ストックがあるのだが、
20曲を越えたら何かしら
アクションを起こしたい。
コードの勉強をして作曲するか、
他者に曲をつけてもらうか…。
いや、私は美術科だ。
これらを短編映画にしてみるか?
せっかく文字なのだから
詩集として展示するのもアリかな、
などとあれこれ考えを巡らせている。
たのしい。
◯
散文になってしまった。
あの「降りてきた日」以来
3曲増えたわけだが、
あれから1週間ほど経った今、
なんと全く何も浮かばない。
またいつか、前触れもなく
降りてくるのだろうか。
その瞬間を待つ。
正直私の心象風景は面白い。
いつかどんな形であれ、
必ず世に出される歌詞たちよ…
おわり